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最高にナウくてイカしてたあの頃のイタ飯!
ブームが残した爪痕はいかに

最高にナウくてイカしてたあの頃のイタ飯!ブームが残した爪痕はいかに

地方でも大手チェーン店やモールができ、洋食・和食・中華…なんでも食べられる時代になりました。
その一方で、大人が行くような小洒落た飲食店は少なくなってきているように感じます。特に、大人向けのイタリア料理専門店はほとんど見かけなくなりました。
「あのお店気に入っていたのに無くなってしまった」という方もいらっしゃるかと思います。

イタリア料理と言えば、80年代後半から90年代初頭のバブル期に流行ったものの一つで「イタ飯」ブームがありました。
日本におとずれた好況期により、人々は贅沢な生活をステイタスとし高層マンション・高級車・高級ブランド・海外旅行・リゾート地などありとあらゆるものが華やかな時代で、トレンディドラマのような生活に若者達は憧れを描いていました。
そんな中、男性が女性をエスコートするのに最適なデートコースとして、イタリアンレストランが大ブームを起こしたのです。

東京中にはイタリア料理専門店が乱立し、地方でもその影響は大きくイタリア料理は日本各地で爆発的な人気になり流行語にまでなった「イタ飯」ブームを巻き起こしました。

バブル期から30年ほど経った現在ですが、あれほどまで人気があったイタリア料理専門店が地方ではほとんど影を潜めてしまっています。もちろん、ファミリーレストランや大手チェーン店でイタリア料理は食べられていますが、大人向けのイタリア料理専門店はどうして少なくなってしまったのでしょうか…

バブル時代になぜイタ飯ブームが訪れたのか?

バブル時代になぜイタ飯ブームが訪れたのか?

バブル時代は生活水準も高く、仕事よりも遊びに重きを置いた享楽的生活な印象が強かったように思います。その様な感覚から、派手なことやお祭り騒ぎ的なことが毎晩のように行われていました。今でいうところのパーティーピーポーですかね(笑)

バブル期より少し前の80年代前半に、フランス料理ブームがありました。1984年には、東京のホテルニューオータニ内にフランス最高峰の三ツ星レストラン「トゥールダルジャン」が初出店をし、開店と同時に人々が殺到しました。予約が取れないほどの盛況ぶりでしたが、格式高いフランス料理は慣れないテーブルマナーに緊張しながらの食事と、高額の料理で頻繁に通えるような場所ではありませんでした。

欧州料理への憧れは大きくあったものの、フランス料理はお酒や料理のオーダーも難しく男性がスムーズにリードしなければならない場で恥をかくことも…
それに対してイタリア料理はシンプルであり、イタリア特有のワイワイとにぎやかに食べる雰囲気が、洒落ていながらも肩ひじを張らずに楽しみながら欧州の料理を味わえる場所であったので、バブル期の人々には肌に合ったのでしょう。
本場で修業したシェフ達が帰国し出店しだしたのも、ちょうどバブル期と重なったのが大きな要因と言えます。

バブル期以降イタリア料理専門店はどうなったのか?

バブル期以降イタリア料理専門店はどうなったのか?

バブル期が終わり高級志向の飲食店には大きな打撃があったことでしょう。
今ほどイタリア料理に使われる食材や調味料などが、日本で手軽に手に入るものではなかったので輸入品などのコスト面の負担、ターゲットにしていた若者達の来客率低下などでイタリア料理専門店が次々と無くなっていったようです。

しかし、バブル期の「イタ飯」ブームの副産物として、オリーブオイルやモッツァレラチーズをはじめとした各種チーズ、バジルなどのイタリアの野菜、調味料などがスーパーで手軽に買えるようになりました。今では、ボロネーゼもマルゲリータピザも生ハムメロンも日本食と同じくらい一般的に浸透していますね。

イタリア料理専門店のターゲットも「もっと手軽に大人から子供まで楽しめるイタリアン」へと変化していったので、個人店は減っていったものの宅配ピザ専門店や、大人料金・子供料金と決まったコース料金で、金額を気にせずに自分の満足するペースで食べられるチェーン店が続々と出店されてきました。
家でも本格的なピザが食べれますし、料金設定がわかりやすいチェーン店では子供達のイベントの打ち上げに使われたり、軽く集まれる場所としても重宝されています。

しかし、バブル期を知っている大人達がイメージしているちょっと気取った感じで訪れたい小洒落たイタリア料理専門店、隠れ家的なお店が減ってしまったことは残念です。

そもそも地方都市では専門店自体が難しい

そもそも地方都市では専門店自体が難しい

都会でもバブル期よりは減っているものの、大人が楽しめる本格的なイタリア料理専門店や人気店が創意工夫を重ねて今でも多数あるなか、なぜ地方都市にはそのようなお店が少ないのでしょう?

その一つの要因として、『生活形態の違い』にあると考えられます。
都会での移動手段は電車やバス、タクシーといったもので、仕事帰りに同僚と食事に行ったりすることが大いにあります。ビジネス街近くならOLがランチに訪れます。
歩行者も多いので開店していれば来客が少なからずあるのです。
都会では、外食は「家族で行く場所」に限らず、大人の「息抜きができる場所」でもあります。

しかし、地方では車の移動が一般的です。仕事に行くのにも車は欠かせません。仕事中のランチも、わざわざ外に出掛けて食べることはほとんどありません。車があるのでお酒が入ることを考えると、頻繁に仕事帰りに同僚とそのまま飲みに行くこともあまりできないのです。
一旦家に帰ってからとか、週末になどある程度制限が出てきます。従って、外食をするなら家族で出掛けるということが多くなります。

都会で流行っているパンケーキ専門店やタピオカジュース専門店など地方でも無いわけではありません。都会と違うところは、そのような専門店は大型ショッピングセンター内にあるのです。街中では歩いている人がほとんどいないので、出店しても一本でやっていくには難しく直ぐに潰れてしまいます。
車での利便性を考えた場所での出店や、わざわざ車で行きたくなるような魅力や満足度が必要になってきます。

大型ショッピングセンターに出店したお店でもうかうかしていられません。テナント料が相当な金額であるため、かなりの売上をあげないと利益がでません。ファミリー層が多く訪れるショッピングセンター内には他にも多くの飲食店があります。その中で、一本で勝負している専門店は厳しい戦いを強いられます。

小洒落たイタリア料理専門店もこのような生活形態の地方においては、「特別な日に行く場所」という感じになるのでしょう。クリスマスのようなイベントがあるときは繁盛すると思いますが、年間で均すと厳しい経営になるのだと考えられます。

まとめ

最高にナウくてイカしてたあの頃のイタ飯!ブームが残した爪痕はいかに まとめ

イタリア料理専門店に限らず専門店自体が地方では難しいのですね。
しかし、ここにきて地方ならではの経営をしているイタリア料理専門店が増えてきていると聞きました。

日本料理に料亭から食堂、地元料理があるようにイタリア料理にも格式高い料理から郷土料理といった多様性があります。
本場で修業してきたシェフがどのようなところで学んできたか、どのような料理が好きかなどシェフそれぞれの価値観があってお店の形にあった料理を提供しています。

地方に出店するメリットを考えたシェフには、その土地ならではの食材を使うといった試みが功を奏しています。
地元の牧場と契約をしフレッシュなモッツァレラチーズや、地域特産の野菜、地元のブランド肉などその土地でしか味わえない食材を活かし、風土や土地の雰囲気に合った料理を提供することで、チェーン店との差別化をはかっているのです。

バブル期とは嗜好が変わってはいますが、バブル期を知っている大人だからこそ本当に大人が楽しめるイタリア料理専門店とは、このような地域ならではのお店を探すことにあるように感じます。